大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和34(オ)979 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士安平康の上告理由第一点、第三点、同馬瀬文夫の上告理由第一

点について。

しかし、被上告人は、賃借権に基き本件家屋を占拠使用している旨抗弁している

から、その賃借権が被上告人主張の賃借権の譲渡であるか又は原判決の認めたよう

に転貸借の暗黙の承諾であるかは、裁判所の判断すべき法律効果であつて、原判決

の右判断をもつて、被上告人の主張しない事実に基づいて判断し又は民訴一八六条

の適用を誤つたものということはできない。論旨は、採ることができない。

安平代理人の上告理由第二点、第四点、第五点について。

しかし、上告人が被上告人に対し本件家屋の転借を暗黙のうちに承諾した旨の原

判決の判断は、原審が適法に確定した事実関係に照しこれを正当として是認するこ

とができる。また、賃借人が賃借家屋を第三者に転貸し、賃貸人がこれを承諾した

場合には、転借人に不信な行為があるなどして賃貸人と賃借人との間で賃貸借を合

意解除することが信義、誠実の原則に反しないような特段の事由がある場合のほか

賃貸人と賃借人とが賃貸借解除の合意をしてもそのため転借人の権利は消滅しない

旨の原判決の見解は、これを正当として是認する。そして、被上告人が訴外Dに本

件家屋の一部を無断転貸した事実は、原判決の認めなかつたところであり、その他

原判決の認定した事実をもつて転借人に不信な行為があり、判示特段の事由がある

場合にあたるものといえない旨の判断もこれを正当として是認できる。されば、所

論は、すべて、採ることができない。

馬瀬代理人の上告理由第二点ないし第四点について。

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しかし、原判決の所論事実認定は、挙示の証拠関係に照しこれを肯認できないこ

とはなく、その間所論の違法を認めることはできない。そして、その認定した事実

関係の下において、上告人が被上告人に対し本件家屋の転借をを暗黙のうちに承諾

した旨の原判決の判断は、これを正当として是認することができる。されば、所論

は、すべて、採ることができない。

同第五点について。

その採ることのできないことは、安平代理人の上告理由第二点、第四点、第五点

について述べたところにより了解すべきである。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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